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【オフィスT&D - ニュース 2008/10/3-】
派遣業の2009年問題への通達について
2006年大企業における偽装請負問題を機に偽装請負が社会問題化しました。この問題に対応するために、多くの製造業においては従来の下請業者との請負契約を労働者派遣契約に切り替えるということで、対応がなされていたのですが、これにあわせるように派遣法も改正され、2007年3月1日に製造業務の派遣の受入可能期間が3年に延長されました。
2009年にはこの3年の派遣可能期間が満了することとなるため、以前より「2009年問題」として人事労務管理上の大きな課題として指摘がなされてきたのですが、先日、9月26日に厚生労働省より「いわゆる「2009年問題」への対応について」と題された通達(職発第0926001号)が出されています。
今回の通達においては、労働者派遣の基本概念である「派遣は、臨時的・一時的な労働力需給調整の仕組みである」ことを改めて強調し、期間を超える派遣受け入れはできない旨が記載されています。
派遣可能期間満了後について、当該業務の処理が必要な時は、
1.指揮命令が必要な場合には直接雇用に
2.指揮命令が必要でない場合は請負によることとすべき
という見解を示しています。
また今回の通達において、「形式的に派遣先で一時直接雇用を行い、3ヶ月間のいわゆるクーリング期間経過後に、再度の労働者派遣の受け入れを行うことや、業務内容等の変化がないにも関わらず、派遣と請負、直接雇用を繰り返すような場合などについては、職業安定法や労働者派遣法違反となる場合がある」旨がが明記されています。
実務上この3か月期間の取扱については各企業が頭を悩ませ、いったん直接雇用を結ぶ形を結んだり、請負にするケースが、多分にありますので、今回の通達は、今後の企業における労働者の雇用の在り方に大きな波紋を投げかけることとなります。
また、派遣業界においても、製造労働者の派遣について今回の通達により、今後の経営戦略を大きく転換せざるを得ないという事態も起こる可能性があります。最近はマスコミ等報道で「派遣=悪」というような内容の記事が大きくみられますが、このような内容には違和感を感じることは少なくありません。
確かに派遣労働については今まで、多くの問題が指摘されていることは事実ですが、その反面、大きな需要があり、この事で経済が回っている実態がある側面を鑑みると、運用に関しては多分に見直す点はありますが、派遣そのものを即、悪いことであると考えるのは少し短絡的ではないかと考えております。
今、「派遣とは何か?」をもう一度きっちり整理する時期が来ているのかもしれません。